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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第12章-02

2013.07.22 (Mon)
「外は寒~い」

白いダウンジャケットを着たミミちゃんが店のドアを開けて入ってきた。

その後ろから襟元にファの付いた焦げ茶のロングコートを着たママも出勤してきた。
店の前で偶然一緒になったのだろうか。

いつもよりママの出勤時間が早いことも少し気になった。

ミミちゃんはダウンジャケットを脱ぐと黒いハイネックのセーターに、白い真珠のネックレスをしていた。

早くも忘年会を行った会社もあるようで、10時過ぎから店が混みだし、最後のひと組が帰えり店を閉めたのが夜中の2時過ぎであった。

愛ちゃんは12時までなので既に上がっている。

ミミちゃんが身支度を済ませて帰るとママがカウンターで電卓を叩きながら言った。

「ミミが辞めるって……。今月一杯で。話があるって言うから、店に入る前に小島さんの喫茶店でミミと会っていたのよ。昼間の仕事も辞めて田舎に帰るそうよ」

〈うん。知ってる〉

思わず言ってしまいそうになったが、ボクは言葉をのど元で止めた。

「………」

「来年から入ってくれる子をまた探さなくちゃ。でもねぇ……。景気も悪いし、週末だけとはいえ人を雇うのも大変だから、しばらくは愛ちゃんだけでもいいかしら」

「愛ちゃんも馴れてきたし、大丈夫じゃないの」

「ねぇ、ショウちゃん。いざとなったらアタシたち二人で頑張りましょうね」

「……うん。そうだね」

内心はボクも昼間の仕事を探そうと考え始めていた。

3年もママの店に世話になり、ママと半同棲生活をしてきたのは居心地が良かったからである。

派遣先の寮を追い出され紙袋2つで東京に戻ってきた水商売は未経験のボクを拾ってくれたママには感謝している。

身体の関係から始まる付き合いばかりしてきたボクには愛とか恋というものがよくわからないが、ママの事を大切に想ってきたのは事実だ。

でも、居心地が良いママとの生活を続けることに将来の不安も感じずにはいられないのだ。

店で常連の客と会話して過ごす仕事は楽しいが、下町の小さなスナックから垣間見る世界ではなく、もっと広く社会と接点を持つ仕事に戻りたいと思い始めていた。

やはりちゃんと会社に就職して、何かカタチにするという“ヤル気”みたいなものが何年かぶりに蘇ってきたのだ。

ママに「店を辞める」と言ったら、ママは何て言うだろうか?

ボクが店を辞めてもボクとママの関係は続くのだろうか?

ボクはママとの関係を続けたいと思っているのか?

日常の風景のようになっていたボクとママの関係を改めて考えるのは億劫なことであった。


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