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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第11章 -03

2013.07.19 (Fri)
留美ちゃんが辞めてしまったので、週末はママとボクとミミちゃんの3人であった。
ボックス席では近所の運送会社で働くトラック運転手の3人が作業着姿でビールを飲みながらミミちゃんと話している。

3人の中のひとり、30代と思われるリーゼントヘアーの男は留美ちゃん目当てで週末に度々来ていた男だ。

店に入って来た時もキョロキョロしていたし、店のドアが開くと視線を向けているから、留美ちゃんを探しているのだろう。

3人の中で1番年配の男がカラオケで千昌夫の『北国の春』を歌いだした。
ボクは歌が苦手なのでカラオケで歌ったりしない。
だが、お店で酔ったお客が歌うカラオケの選曲を見ていると、季節感とかは関係なく自分のオハコの歌を歌いたいようだ。

カウンターで常連の大塚さんがポツリとつぶやいた。

「北国の春かぁ。中東の方じゃアラブの春で大変みたいだなぁ」

カウンターの中にいたママが言った。

「何とかって大佐が捕まって殺されたのでしょ」

「40年以上も独裁政権でトップに君臨していたんだから国民の恨み辛みも凄いのだろうなぁ。でも、民主化を求めて独裁政権を倒しても豊かになる保証があるとは俺は思わないねぇ。だって、民主主義の象徴であるアメリカでもデモが起きてるのだから……」

ママがクイズに答えるように手を挙げて言った。

「アタシ観たわよ。テレビで、それ。何だけっけ?」

ボクと大塚さんが同時に言った。

「ウォール街を占拠せよ!」

「そうそう、それ」

海の向こうのアメリカでは先月から『自分たちは99パーセントだ』と言ってウォール街を占拠するデモが続いている。

大塚さんが話しを続けた。

「格差社会は今になって始まった事ではないだろうが、銀行マンの口車に乗せられて、本当はマイホームなんて身分不相応な人たちに家を買わせて破綻させたり、その住宅ローンを挽き肉の様に様々な債券とミックスして投資銀行にばらまいたサブプライムローンが暴落したリーマンショックで一気に景気が冷え込んで失業者が増えた結果だ。行き過ぎた資本主義の結果、ガタガタになった国家を救えない民主主義の終わりを見てるみたいだよ。まぁ、社会主義だろうが、民主主義だろうが、イデオロギーの問題であって、只の屁理屈みたいなもんだし。この世の中、何処へ行ったって極楽浄土の桃源郷みたいな場所はないんだよ」

その日の夜はミミちゃんのアパートにボクは泊まった。

昼間はそれほど寒くはなかったが、夜になると冷え込んできた。
2人で狭い湯船に入り冷えた身体を温め、布団の中で抱き合った。

ミミちゃんはイキそうになると、ボクにしがみつきキスをしてくる。
小鼻を膨らませ、呼吸が速くなり、舌を絡め吸い付いてくる。

喉の奥から魂を吸い取られそうな激しいキスだ。

その激しさにボクの気持ちも高まり陰嚢が引きつるような感覚と共に彼女の中に放出した。

枕元のティッシュを2枚取って彼女に渡すと、それを持って尻の下にあてがい、ボクが抜くときに布団を汚さないように局部を押さえた。

ミミちゃんはティッシュを挟んだままクルリと身体を回転させ腹ばいになり、タバコに火を点けた。
一口吸って、フ~と煙を吐き出しポツリと言った。

「あたし、仕事辞めて田舎に行こうかと思ってるのよ」

「田舎って何処なの?」

「あたしの田舎じゃなくて旦那の田舎よ。新潟なんだけどね」

「旦那さんと……寄りを戻すの?」

「……。旦那が年末に出てくるのよ。別荘から……」

「え、別荘!」

ミミちゃんの旦那さんは恐喝事件を起こし懲役2年の実刑を食らったそうである。
その前に起こした傷害事件で執行猶予中だった為に、都合3年の刑で服役しているそうだ。

「あの子も男運が無いって言うか、付き合う男にろくなのがいないのよね」

ママが言っていた言葉をボクは思い出していていた。

ママはミミちゃんから旦那さんが犯罪を犯し刑務所に入っていることを聞いていたから、あんなことを言ったのだろう。

ミミちゃんは短くなったタバコを灰皿でもみ消しながら言った。

「あの人の実家は商売やていて……今は閉めてるんだけど、そこで喫茶店でもやろうかと思ってるの。昼間はコーヒーとサンドイッチでも出して、夜はお酒もだしてスナックみたいな感じでさ」

どこまで現実味のある話なのかボクにはわからないが、話しているミミちゃんは楽しそうだ。
何か目標や希望を持つことは大切なのだと思った。

ボクもママのスナックでバーテン見習いとして働く日々から卒業して、将来の事を考える時期にきているのかも知れない。

ミミちゃんがボクの顔を覗き込んで言った。

「ねぇ、あんたも一緒に新潟に来ない? あたしの店を手伝ってよ」

「え!」

〈出所してきた旦那さんがいるのに、どうしてボクが新潟でミミちゃんの喫茶店を手伝わなきゃならいの?〉

「どーせ旦那は働かないんだから、あんたなら真面目だし。それにあの人そう先が長くないと思うのよね。68だし、腎臓患ってるから……」

〈旦那さんが亡くなれば、2人で暮らして行こうという意味なのだろうか?〉

「ちょっと待ってよ。新潟なんで行ったことない場所で生活するなんて無理だよ。それに旦那さんだっているんだし。喫茶店を始めてうまく行くかどうかもわからないじゃん」

「アハハハ。そうよね。でも絶対にあたし喫茶店やると思う。ねぇ、店が軌道に乗ったら呼んであげるから、考えておいてね」

そう言うと、彼女はボクに身体を絡めてキスをしながら萎んだ陰茎に手を伸ばしてきた。


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