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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第11章 -02

2013.07.18 (Thu)
「アタシ美容室に予約いれているから行ってくるわね」

そう言うとママはサッサと出かけてしまった。
ひとり部屋にいてもつまらないので、ボクも出かけることにした。

8月のお盆休みに英理子さんと早稲田に行った時に、昔馴染みの店が無くなっていることを知り、思いのほか時か経過していることを実感した。

16年も経てば街も変わるのは当然のことだろう。
「キッチン・オトボケ」でカツカレーを食べながら、自分が足繁く通った店がもう一軒あることを思い出していた。

4年前まで四谷の小物雑貨メーカーで働いていた頃によく昼飯を食べに行った店だ。
四ッ谷駅前の外堀通りと新宿通りの交差点を渡り、灰吹屋薬局の角を曲がった“しんみち通り”を入ってすぐの場所にある「洋食エリーゼ」だ。

カウンターと小さなテーブル席が2つほどの店だが、いつも行列が出来ていた。
外で待っていると店員がメニューを渡してくれ入店前に注文を取るので、並んでいても店に入れば注文した料理の出てくるのが早く、客捌きの上手な店である。

但し3人とかで食べに行こうものなら、まず並んで座ることは難しい。
だからボクはいつもひとりで食べに行っていた記憶がある。

ハンバーグやメンチカツにカニクリームコロッケなどの定食やカレーライスにオムライスと一通りの洋食メニューが揃っている店だが、ボクはここのオリジナルメニューと思われるビーフトマト定食を好んでよく食べた。

脂身の多い牛バラ肉とタマネギとトマトを炒めた料理だ。
味付けは醤油ベースのようであっさりとしているが肉から出た旨味とトマトのほのかな酸味がコクのある西洋料理のように感じられる。
添えられた千切りのキャベツとマッシュポテトをソースに絡めて食べるのがボクは好きだった。

足立区に住んでいると山の手に出るのは億劫だ。
北千住から地下鉄で新御茶ノ水まで出て、徒歩でJRの御茶ノ水駅まで歩き、中央線で四ツ谷駅に着いた。

4年ぶりにビーフトマトを食べようとわざわざ電車を乗り継いでやってきたのだが……
残念ながら店が変わっていた。

居抜きで借りたのか、店内の内装が変わった様子はないが、メニューがまったく違うのだ。
メニューを探してもビーフトマトが見あたらいのだ。

店の人に聞くとエリーゼは先月で閉店し、新しくカツ専門店として新装オープンしたそうである。

またひとつ思い出の場所が無くなってしまったみたいだ……。

ボクはポークカツレツ定食を食べて店を出た。

新宿通りを渡って昔働いていた会社の方へ向かう途中に有名な「わかば」というたい焼き屋がある。

1尾140円のたい焼きを買って食べながら昔働いていた職場のビルまで来た。

4年ぶりに顔を出してみようかと考えていたのだが、ビルの前まで来ると、そこから先の足が重くなった。

何か問題を起こして辞めた訳ではなし、円満退社ではあるが、その後の自分を振り返ると昔の上司や同僚と顔を合わせることを躊躇った。
みんなに会えば今は何をしているのかと聞かれるに決まっている。

派遣で働いて、派遣切りにあい、今は下町のスナックでバーテン見習いとして働いていると正直に話す気にはなれない。
まして、その店のママの部屋に居候しているなんて……。

〈そこまで話すことは決してないだろうけれど〉

18から社会で働きはじめ、36の今まで何にもカタチになっていない自分が社会からの落ちこぼれのように感じた。

今までに勤めた会社が続かなかった訳ではない。早稲田の印刷ブローカーの会社では2年。
工場のアルバイトを辞めて就職した浅草橋にある雑貨卸問屋は6年。
「ウチの会社に来ないか」と誘われ転職した目の前のビルにあるこの会社でも勤続年数は5年だ。

どれも中途半端だと言われてしまえば、それまでかも知れないが……
その時々の事情やボクなりの考えがあって行動してきた積りなのだが……。


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