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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第11章 -01

2013.07.17 (Wed)
朝10時過ぎに起きて、ママと軽い朝食を済ませるとボクは自分のアパートへ戻ることにした。
1週間に1度は郵便物を取りに行くのだ。
10階からエレベーターに乗り、1階のボタンを押した。
途中で止まることもなく1階に着いた。

途中の階で誰か乗り込んでくるといつも緊張してしまう。
軽く頭を下げて挨拶程度はするが、下まで着く間の密室での沈黙が苦手だ。
ママの部屋に居候している身分であるからかも知れない。

1階のエントランスでスーツ姿の年配の男性とすれ違った。
ボクは軽く頭を下げて足早にマンションを出た。

ママのマンションに出入りするようになって3年近く経つが、同じマンションの住人と言葉を交わしたことは殆どない。
偶然エレベーターで一緒になったり、エントランスですれ違ってもあまり目を合わさないようにしているので、ここの住人の顔すらまともに覚えていない。

それにしても午前中のこの時間にスーツ姿で帰ってくるとは、一度会社に出社したが忘れ物でも取りに帰って来たのだろうか?
それとも何かのセールマンだろうか?

アパートへ向かう途中、甘い花の香りが漂ってきた。
古い民家の庭に植えられた金木犀の木にオレンジ色の花が無数に咲いている。

〈もう秋だなぁ〉

20分ほど歩いて自分のアパートへ着くと、郵便ポストを開けた。
新聞は取っていなし、郵便物と言っても大して使わない電気やガスの請求書ぐらいで、あとはポスティングで投げ込まれた宅配のピザや寿司などのメニューチラシと、名刺サイズの紙に店の名前と電話番号が大きく印刷された出張風俗のチラシぐらいだ。

風呂なしの安アパートに呼ばれたら風俗嬢も困るだろうと思うのだが、ポスティングをする人間にとっては関係のないことなのだろう。

昼過ぎにママのマンションに戻る途中、月極め駐車場に停めてあるママのベンツがないことに気付いた。
ママがクルマで出かけたのかと思ったが、部屋に入るとママは居た。

駐車場にクルマがないことを聞こうと思ったら、ママが先に話しはじめた。

「留美がお店辞るって……。結婚するんだて。妊娠もしてるみたいよ。産婦人科に行ったら妊娠八週目だってさ」

蕎麦屋の大旦那・木村さんが話していた通り、常連の小糸さんの部下である岡田さんと付き合っていたようである。
ママの携帯に数分前に電話してきたそうだ。

「誰か週末に手伝ってくれる若い子を探さなくちゃ」

ママはサバサバした言い方でもう辞めてゆく留美ちゃんには興味がないようであった。

「それより、ママのベンツ駐車場になかったけど修理でも出したの?」

「さっき、ショウちゃんが出て行ってからすぐに取りに来たから……。返したのよ」

「返したって、誰に?」

ママのベンツは8月に亡くなったママが昔世話になったという千葉で造園業を営んでいた人の名義だったそうである。
相続の関係で故人の資産を整理することになり造園の会社の人が取りに来たそうだ。
出かける時に1階のエントランスですれ違ったスーツ姿の年配の男性がそうだったのだろう。


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