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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第10章 -02

2013.07.14 (Sun)
ボクはママとマリさんとミミちゃんの関係が気になっていた。
ミミちゃんはママが日本橋でやっていた店で働いていたとは聞いていたが、銀座でも一緒に働いていたことは初耳だった。

マリさんが言っていた「トラブル女」とはどんな意味なのだろうか。

「バーテンさんハイボールお代わり二つ」

小糸さんがお代わりを注文した。
ボクは2つのグラスに氷を一杯に入れ、メジャーカップで測ったウィスキーを注ぎグラブソーダで割った。
柄の長いバー・スプーンでステアし、スライスしたレモンを乗せて小糸さんと連れの男性の前に出した。

ひと口飲んだ小糸さんが誰に言うともなく言った。

「今日は二人で反省会ですよ」

隣りでレモンサワーを飲んでいる大塚さんが聞いた。

「どうしたのですか?」

「中途採用で入ってもらった若い奴をクビにしたんですよ。クビと言っても試用期間だったので、私の判断で辞めてもらったのですけれどもね。自分たちの指導不足だったのかと思うと何ともやるせなくて……。彼と二人で反省会ですよ」

隣りの小糸さんと一緒の男性が続けた。

「自分、村沢って言います。課長と同じ部署で働いています」

小糸さんと村沢さんの話によれば、試用期間中に辞めてもらった社員は24歳の大卒で、最初に就職した会社を2年ほどで辞めて入ってきたいわゆる第二新卒だそうだ。

ある程度の社会経験があるので電話応対やファックスにコピー機の扱いなどは慣れていたので、有望だと思い熱心に仕事を教えたそうだ。

しかし、2ヶ月を過ぎたころから部署内で取引先とのトラブルが頻発した。

原因は彼であった。
取引先から受けた電話の内容を伝え忘れ納入が滞ってクレームに発展したり、来客の応対をして応接に客を通した後に、小糸さんらに来客を伝え忘れ客を一時間以上も応接に放置したり。
うっかりミスでは許されない事故が相次いだそうだ。

「遅刻はしないし、あいさつもきちんとするし、普通な奴なんだけど……。普通じゃ考えられないミスばかりするもんだから」

「課長が何度注意しても直らないんだから仕方ないですよ。あいつのお陰で余計な仕事ばかり増えちゃって大変だったんですから……」

2人の話を聞いていた大塚さんが言った。

「それて……。発達障害じゃないですかね」

「発達障害?」

「俺もよくは知らないけど、知的障害を伴わない障害で、学習障害とか注意欠陥・多動性障害とか色々と分類されるみたいですよ。まぁ、医者は何かしらの病名を付けたがるからね」

「そんな病気があるんですか」

「ここ最近、大人になってから症状が顕著になる例が増えているみたいですよ。俺が思うにはゆとり教育で競争心とかが削がれた学校教育で育ったのが原因なんじゃないかと思ったりするけどね」

「ゆとり教育かぁ。確かに私たちの時代は土曜日も学校があったけど、今の子供たちは大人と同じで土日休みの週休二日制ですからね。こっちは忙しければ土曜も仕事するのに」

大塚さんが空のグラスを揺すってレモンサワーのお代わりを注文しながら続けた。

「ゆとり教育とやらの一環で、今は学校じゃ業者テストが廃止されて、偏差値を取らないらしいですからね」

「そうなんだよなぁ。うちの息子は今年受験なんだけど、私らの頃と違って業者テストがないから偏差値もわからないし……。成績が悪いのは間違いないんだけどさぁ。だから塾にも通わせているし、模擬試験も受けさせてるよ」

「課長のお子さん受験生ですか?」

「うん。中学3年生だよ。塾の先生が言うには、私立中学は土曜も授業があるので、公立の中学と私立の中学じゃ3年間で授業時間が1,000時間も差があるんだってよ」

「1,000時間ですか!」

「そんなの最初からわかっていたら中学から私立にって、今から思ってもねぇ。小学6年から受験なんて考えてもみなかったし。子供3人も中学から私立に通わせる程の金もないから無理な話だけどさぁ」

大塚さんが言った。

「俺が思うに、今の世の中の格差はバブル経済の崩壊とかリーマンショックとかの景気低迷だけが原因じゃなく、ゆとり教育にも問題があるんじゃないかな」

ボクが高校受験だった中学3年生の頃は学校で毎月のように業者テストがあって、偏差値や成績が全国で何番目だとか数字が印字されたテスト結果を渡された記憶がある。

当時は数字で自分の将来が決められるようで不満な気持ちもあったが、社会に出てみれば数字からは逃げられないのが現実だ。

営業は売上という数字のノルマを背負わされて働かされるし、一人暮らしをすれば家賃に水道光熱費の支払いを計算して引き落とし金額を計算する。
気づけば競馬も数字で予想している自分がいる。

「これからの日本はどうなっちゃうのでしょうかね? 総理大臣はころころと替わるし」

沢村さんがため息まじりに言いうと、大塚さんがうなづきなら話し出した。

「本当だよな。毎年のように総理大臣が替わって、発言の揚げ足取りで国会を空転させる税金泥棒の議員たちが運営する名ばかりの無責任な議会制民主主義にうんざりだなぁ。政治家ってのはもっと志の高いもんだと思うんだけど、シノギになっちまってる奴らが多すぎるみたいだなぁ。民主主義ってのが本当にいいのか疑問にすら思うよ」



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