FC2ブログ
アクセスランキング

スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第9章 -02

2013.07.10 (Wed)
芳ばしい香りが鼻をくすぐり目覚めた。

「コーヒー入ってるわよ」

「……うん」

ミミちゃんは下着姿で鏡台に向かって化粧をしていた。
ファンデーションをパタパタと顔に叩き、チークで頬のラインに赤みの色づけをする。
微かに化粧品特有の粉っぽい匂いがしてきた。
次にアイラインを引いて、薄いピンクの口紅を差した。

ボクは女が化粧をする姿を見るのが好きだ。
だからと言って電車の中で化粧をしている若い女どもには閉口する。
こうして自宅で出かける準備をする女の姿を眺めるのが好きなのだ。

ボクたちは軽い朝食を済ませ浅草に向かった。
東武伊勢崎線の浅草駅改札を出て階段を下りると松坂屋の入り口だ。
通りを渡ってアーケードの商店街を抜けると仲見世だ。

浅草寺に向かう直線の道を左右にびっしりと店が軒を連ねている。
扇子を専門に売る店もあれば、色とりどりの半纏を吊るして売っている店もある。
煎餅を焼く芳ばしい香りや、人形焼の甘い香りが漂っている。
まだ昼前だと言うのに凄い人でごった返していた。
お盆休みだから地方から東京見物に来ている人も多いのだろう。

ボクたちは人を掻き分けるように前に進んだ。
途中の十字路で雷おこしを売る前田商店の前で右側を見ると建設中の東京スカイツリーが見えた。

仲見世を抜けるとボクたちは浅草寺の境内には入らず左に曲がった。
まっすぐ進み五差路を右にしばらく進むと花やしきに着いた。

2,200円のフリーパスを2枚買って園内に入る。

「懐かしいわ。何年ぶりかしら」

「ボクは初めてかも知れない」

「え、あんた来たことないの?」

「うん……」

「じゃあ、たっぷり楽しみましょう」

ミミちゃんは子供のようにはしゃいで走り出した。

乗り物に乗って進む洋風お化け屋敷や、塔の天辺までゴンドラで登るアトラクションでは浅草の街が一望できた。
園内の隅を沿うように走るローラーコースターは小さいけど迫力があった。

どのアトラクションに乗るのにも20~30分は待つので、ひと通り乗り倒すと19時を過ぎていた。
だが、まだ日は高い。

フードコートでカレーライスを食べたきりなのでお腹も空いていた。

「そろそろ出て、外で何か食べようよ」

「じゃあ、もう1回だけローラーコースター乗ろう」

普段お店で接客をしていない時は静かで、気だるそうにタバコを吸っているミミちゃんだが、今日は別人のように笑顔ではしゃぎまわっている。

「さぁ、乗りに行こう」

ボクの手を取って引っ張るミミちゃんの指が細いことに今になって気づいた。

ボクはあまり女性と手を繋がない。
腕を組まれるのもあまり好きではない。

要は恥ずかしいのだ。

年の離れた女性と手を繋いだり、腕を組んで歩いている姿を人が見たらどう思うだろう。
と考えると恥ずかしいのだ。

じゃあ、同世代か自分より年下の女性となら手を繋いだり、腕を組んで歩けるかと考えると、そもそも同世代や年下の女性にまったく興味がないのでわからないのだ。

花やしきを出たボクたちはリーズナブルな定食屋で食事をした。
浅草にはすき焼きの今半が何店舗もあり、目の前を通り過ぎたが、入り口に貼り出された値段はとても手の出るものではなかった。

地元の駅に着くとすっかり夜になっていた。
一日外で過ごして汗もかいたし、疲れていた。

「今夜もうちに来る?」

「いや、自分の部屋に帰るよ」

「そう。じゃあゆっくり休んでね。今日は楽しかったわ。おやすみなさい」

そう言うとミミちゃんは手を振って自分のアパートの方角へ歩き出した。



よろしかったらクリックお願いします。


戻る もくじ 次へ
スポンサーサイト

コメント


管理者のみに表示

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。