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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第7章 -01

2013.07.02 (Tue)
外はギラギラとした夏の日差しが照りつけているが、ボクは冷房の効いたママのマンションで一人パソコンの画面に見入っていた。
浦和競馬の9R、C1クラスのダート1500メートル。

1番人気の馬が4コーナーを曲がると他の馬とは圧倒的な脚の違いで大外から五頭をごぼう抜きしてゴール前を駆け抜けた。

2着は4コーナーまでハナを切って引っ張った3番人気の馬が粘り一、2着はボクの予想通りであったが、3着に7番人気の馬が入ってネット投票の残高がゼロになった。

僅か8頭立てのレースなんて買わなければよかったと思っても後の祭りだ。

競馬場に行かなくてもネットで馬券が買えて、公営競馬はレースまでパソコンの画面で見られるのだから便利な世の中だ。
便利さゆえに昼飯を食べに出て、1万円を崩した9,000円をコンビニのATMで入金し、いつものようにエクセルで予想をはじめて、7レースから馬券を買ったがさっぱり当たらない。

あと二鞍レースがあるが、外まで出てコンビニのATMに金を追加する気力もないし、店に出勤する時間が近づいていた。
パソコンを閉じてタバコに火を点けると玄関のチャイムが鳴り、喪服を着たママが帰ってきた。
ドアを開けると黒い着物を着たママが額に汗を浮かべて立っていた。

「ショウちゃん、お塩。お清めしないと」

ボクはあらかじめ玄関先に用意しておいた小皿に盛った塩をつまみママの胸と肩のあたりに振りかけた。
ママは着物に付いた塩を払うと玄関を上がり部屋に入った。

「暑かったぁ。やっぱり着物じゃなくて洋服にすればよかった」

「でも、洋装の喪服は冬物しかなかったんでしょ」

「そうなのよねぇ。やっぱり夏物も買わないとダメかしら?」

そんな事を言いながらママはスルスルと帯を解いて黒い着物を脱いだ。
着物の下に着ていた白い長襦袢姿のママを見てエロチックだとボクは思った。

ママが昔世話になったという人が亡くなったそうで、その人の告別式に行ってきたのだ。

その人は千葉で造園業を営んでいたそうで、ママ曰く「若いときに大変世話になった人」だそうだ。
先月ママがひとりクルマで出かけたのは、その人が入院している病院にお見舞いに行ったからであった。

「癌だったみたいで、凄く痩せちゃってね。可哀想だったわ……」

「ママのお店のお客さんだったの?」

「うん。若いときに働いていたクラブでね。気さくな人で、いつも面白い話を聞かせてくれて、人を笑わせるのが上手な人だったのよ」

20代の頃に働いていた銀座のクラブの常連さんだったそうだ。

「アタシが離婚して、また夜の仕事を始めようと思った時に相談したら……・・。『小さい子供もいるのに大変だろう』って……・・。日本橋にお店を作ってくれたのよ」

ママは一度結婚しているが、5年で離婚して自分の店を始めたと聞いていたが、スポンサーがいたことは知らなかった。

「ママとその人はイイ関係だったの?」

「フフフゥ。昔の話よ。あらショウちゃん気になるの?」

「別に。ただ聞いてみただけだよ」

「あら、焼き餅焼いてるの? ママ嬉しいわ」

「そんなんじゃないよ。店の準備あるから先に行くよ」

そう言ってボクは部屋を後にした。
正直少しばかり動揺していた。

ボクより25年も長く生きているのだから、これまでに何人もの男がママの身体を通り抜けていったことは、至極当然の事だと思う。
だが、何だか生々しい男と女の関係を聞かされたようで、妙な興奮と切なさを感じた。

マンションから外に出ると日差しはまだ強く、いっきに汗が吹き出してきた。


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