FC2ブログ
アクセスランキング

スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

スポンサーサイト

--.--.-- (--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

第4章 -01

2013.06.23 (Sun)
週末にヘルプでお店に入ってもらっているコンパニオンの明日香さんが失踪したという噂が飛び込んできたのは水曜日だった。

常連の客である蕎麦屋の大旦那・木村さんが何時ものようにビールを飲みに来た時に言っていた。
この蕎麦屋の大旦那・木村さんは町内の情報に精通した老人だ。

店は息子さんに任せているものの毎朝打ちあがったそばとつゆの味見は欠かさないそうだ。しかし、それが済んでしまえば町内をぶらぶらしている様子で、商店や町内の人間との立ち話による情報収集能力は侮れない。

木村さんの情報によると、パチンコ好きの明日香さんがタチの悪い筋から金を借りて返せなくなり失踪したのではないかとの噂だ。

果たして金曜日の今夜、明日香さんは出勤してくるのだろうかと思いながらボクは店で開店の準備をしていた。

開店時間の5分前。
胸元が広く開いた黒いワンピースを着た留美ちゃんは出勤してきたが、明日香さんはお店に出勤して来なかった。

携帯電話も電源が切られている様子で「お客様のおかけになった電話番号は電波の届かない場所か電源が……」というアナウスが流れるだけであった。

その日は金曜日だと言うのに暇な夜だった。
木村さんが帰ったあとにママのスナック「幸子」のドアを開けたのは二人だけであった。

23時半を過ぎると店の中はママとバーテン見習いのボクと留美ちゃんだけになってしまった。

ママは厨房で冷蔵庫の中の整理を始めた。
店で出すフードの類はだいたいがレトルト食品だ。

鳥の唐揚げもフライドポテトも、スペアリブやシュウマイなどなど。その殆どがレンジで温め皿に盛るだけのものだ。
付け合せのサニーレタスやプチトマトなどはスーパーで購入している。

これら業務用のレトルト食品を取り扱っている業者のカタログを見るとカレーの種類が多いことに驚く。

ビーフカレーにポークカレー、チキンカレーは当たりまえ。
赤カレーに黒カレー、キーマカレーや欧風カレーに白カレーまである。

カレーをフードメニューに加えたらどうかとママに提案したことがあるが、あっさりと却下された。
理由は炊いたご飯が余ったら毎日、自分たちは残り物の白米を食べることになるからだそうだ。

ソース焼きそばだけはレトルト食品があまりにもまずかったのでボクが調理して出している。

カウンターのスツールに腰かけ携帯で誰かとメールしていた留美ちゃんが、厨房にいるママの元に行って何か耳元で話し始めた。

「いいわよ。お疲れさま」

厨房から出てきた留美ちゃんがボクに「お先に失礼します」とペコリと頭を下げて店のドアから出て行った。

余りにも暇なので何かしら言い訳をして早上がりをしたのだろう。留美ちゃんが帰った後にママが言った。

「どうせ男と会うならウチの店に呼んで、飲んでからホテルでもどこでも行けばいいのに!」

やはりお客さんとホテルに行っていることをママも気付いていたようだ。何年も水商売で生きてきた人ですから……。

12時を過ぎても誰も店のドアを開けないので、いつもより早めに店を閉めた。
計算するほどの売上ではないのに、ママはいつものようにカウンターで電卓を叩きながら言った。

「木村さんの話が本当なら明日香はもう来ないかもね」

「………」

「困ったわ。明日は何だか忙しくなりそうだから誰かピンチヒッターでもいいから手伝ってくれる人を探さなくちゃ」

「明日も今夜みたいに暇なんじゃないの?」

「暇だった次の日は忙しくなることが多いのよ」



よろしかったらクリックお願いします。



戻る もくじ 次へ
スポンサーサイト

コメント


管理者のみに表示

トラックバック

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。