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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第3章 -01

2013.06.19 (Wed)
バブル経済が崩壊した1991年。
当時ボクはまだ高校生だったのでバブル景気がどんなものだったかのよくは知らないし、バブルが崩壊してもボクの高校生活には何の支障もなかった。

日経平均株価が38,915円をピークに急落し、不動産が大幅に下落したニュースをテレビで見た覚えがあるが高校生だったボクにはあまり実感として記憶に残るものはない。

偏差値が平均よりちょっと下の……つまり、中の下ぐらいの都立高校を卒業して新宿区早稲田にある印刷会社に営業職で就職した。
印刷会社といっても印刷機械を置いてあるわけではなく、印刷の仕事を受注して印刷工場に外注する印刷ブローカーの会社だ。

社長を含め10人ほどの会社で営業目標という名のノルマを背負わされ朝九時から終電間際まで働かされた。

「みなさんはそれぞれに将来の夢や希望があるはずだ。ある物は将来独立して自分で事業を興したいと思い。またある物は趣味を生かして将来は生計を立てたいと思うのかも知れない。夢や希望を叶えることを自己実現と言います。しかし、今すぐに自己実現が出来るわけではありません。まずは、個人の自己実現の為には目の前にある課題をクリアしなければならない。会社が儲かることにより、みなさんの給与も上がり、それぞれの自己実現の為の原資を手にする事が出来る。つまり、個々の営業目標すら達成できない者に自己実現の道はないのだ!」

毎週末の夜には営業会議が開かれ、個人ごとの売上数字が経過報告され、月末のノルマ達成に向けて社長から激が飛ばされた。

社長は話に熱が入ると止まらなくなり、終電が過ぎても会議が終わらず、深夜二時三時まで続くこともしばしばだった。

印刷物と言っても、書店で目にする雑誌や家電量販店で売られている電化製品のカタログ、或いは駅に貼られているポスターなど誰もが目にする様な印刷物は大手印刷会社が扱う仕事で、ボクたち小さな印刷ブローカーの会社が受注できる仕事は見たこともない工業部品の取り扱い説明書や聞いたこともない専門学校の教材にパンフレット。
どこで配られているかわからないミニコミ誌などばかりであった。

それを小さなデザイン事務所や三流広告代理店から受注していた。

「目標をクリアできないのは取ってくる仕事が少ないからだ。つまり自分が担当している取引先が少なかったり、我が社との取引が休眠している取引先を放ったらかしているからである。少しでも時間があれば新規開拓や掘り起こしをして営業活動をし、もっと仕事を取らないとみなさんの営業目標は永遠に達成されません。みなさんの将来の自己実現の為にももっと頑張れ!」

今思えば自己啓発セミナーか新興宗教みたいな乗りがある会社であったと思う。
洗脳されることを嫌い辞めていく営業マンも多かったが、高校を卒業したばかりのボクは「会社とはこんなものだろう」と何の疑問も持たずに営業に励んでいた。

マスコミ電話帳やデザイン年鑑をみて片っ端から電話営業や、飛び込みの営業もやらされた。
高校時代からアルバイトに明け暮れて金を稼いでいたので、社会人になってアルバイトの頃よりも金を貰えることがうれしくて一生懸命働き、1年程で営業成績もトップを争うまでになった。

しかし、経理担当者が会社の金を横領する事件が起こり、給与が遅延し始めたので二年ほど勤めた会社を退職した。当時のボクは二十歳だった。


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