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スナック・ママとバーテン見習いボクの同棲生活

オリジナル小説です。

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第2章 -04

2013.06.15 (Sat)
今年の正月が明けた三回目の日曜日。
京成杯で3連単15万馬券を当てた時に舞いあがったボクはママと大喜びして散財した苦い経験があるからだ。

「見て、見て、ママ。15万馬券だよ!」

「え、どれ?」

ボクは50インチの液晶テレビの画面に映し出された3連単の配当金額を指差した。
そこには②-⑩-⑤156,000円と表示されていた。

「アタシを驚かそうとしてるでしょ? そんなの当たる訳ないじゃない」

ママは笑いながら信じていない様子であった。
ボクはむきになってパソコンを立ち上げJRAのPATにログインした。
そこには156,000円の払い戻し金額が既に入金されていた。

「あら、やだ。ショウちゃん凄いじゃない。これ本当なの? ウチのお店の一日の売上より多いじゃない」

「エヘヘヘヘ」

「今夜はショウちゃんの奢りで何か美味しいものを食べに行きたいわ」

ママが甘えた声で鼻を鳴らした。

「よ~し。旨いもんを食いに行こう!」

ママは寝室にある鏡台の前で化粧を始めた。
小さなボトルに入った化粧下地の液体をパフに染み込ませ、パタパタと顔を叩き、次にYとSとLのアルファベットが重なったロゴのコンパクトを開きファンデーションの粉を顔に塗り始めた。
そばで見ていたボクの鼻さきにデパートの化粧品売り場のような匂いが届いてきた。

大抵の男は女性化粧品の匂いが嫌いだと言うが、ボクはこの匂いが結構好きだ。

遠い記憶の中では、小学生の頃に授業参観やPTAの会合などで母親たちが学校に詰めかけると化粧品の匂いが教室の中に充満して、気持ちがそわそわしたことを覚えている。

まだ精通もない幼い頃であったが、体の中が熱くなる性的興奮に目覚めていたのかも知れない。

ボクはママのスウェットの首元から手を入れて、小粒の乳首をコリコリと揉んだ。

「だめよ。ショウちゃん。出かけるの遅くなっちゃうでしょ。それに腕にファンデーションが付いちゃうじゃない」

ママは笑いならが身体をよじった。

ボクとママはすっかり日の暮れた街にくりだした。
マンションから歩いて5分ほどのスーパーに併設されたショッピングモールに着くと、まずはATMで払い戻しの156,000円をおろして、二つ折りの財布に仕舞った。
奥行きが200メートルはあると思われるショッピングモールには1階から3階までに100店舗ちかい店がテナントで入っている。

「ショウちゃん。これ素敵だと思わない?」

ママがジュエリーショップの前で足を止めショウケースの中にあるネックレスを指差した。
シルバーのワイヤーにダイヤモンドと思われる透明に光る複雑に表面をカットされた石がぶら下がっている。

「よろしかったらお付けになってみますか?」

いつの間に近づいてきたのか。
黒いワンピースを着た女性店員が話しかけてきた。

「じゃあ、ちょっと見せていただこうかしら」

女性店員がショウケースの鍵を開け、ダイヤモンドの付いたネックレスを取り出し、ママの首にかけた。

「どうかしら? 似合う?」

「………」

ボクは店員がショウケースから取り出す時に25万円と書かれた値札を見て言葉にならなかった。

「凄くお似合いですよ」

ママはボクの方を見て「どうしよう?」と問いかけている。
ボクは言った。

「値段が高すぎるよ」

すっかり値段の事を気にしていなかったママも値札をみて驚いたようだ。

「あら、本当だわ」

そこへ透かさず店員が食い下がる。

「ネックレスをお探しでしたら、こちらにもう少しお手ごろなものもございます。どうぞご覧になってください」

店員にうながされママは店の中にあるネックレスを物色しはじめた。
30分ほどネックレスを付け替えては外し、その度に鏡を覗き込み、一番気に入ったトルコ石のネックレスを首にかけてボクの前に立つと。

「どう? お手ごろなの見つけちゃった」

値札をボクの前にひらひらと振りながら、悪戯っぽく笑う。38,000円。
先ほどの25万円から比べれば遥かに安い。
馬券も当たり気分も良く気持ちが大きくなっていいたのだろう。
そのトルコ石のネックレスをママに買ってあげた。

次に立ち寄ったブティックでもシックなグレーのツイードスーツを試着したママが素敵だと思ったから、迷わず買ってあげることにした。

3階のフードフロアに上がるまで寄り道をしたので、飲食店が一番混む夕飯時にさしかっていた。
どの店も入店待ちをする客の列が出来ていた。
リーズナブルな料理を出す店ほどその列は長い。
すしの店と天ぷらの店は他の店と比べて高いからか、客の列がない。

ボクたちは天ぷらの店に入って食事をすることにした。
店に入るとすんなりテーブル席に通された。
食欲をそそるゴマ油の香りが店の中に漂っている。
店のメニューで一番高い天ぷら懐石と冷酒を注文した。

ママは運ばれてきた冷酒を飲んで顔をほころばせた。

食事を済ませツイードスーツの入った大きな紙袋とトルコ石のネックレスが入った小さな紙袋を下げてマンションに帰ってきたのは夜の10時を過ぎていた。

久しぶりに競馬が当たり、気持ちが舞い上がってしまったようでほんの数時間で散財してしまった。

財布の中を開くと1万円札が6枚と5千円札が1枚に千円札が3枚に減っていた。

ママにトルコ石のネックレスやツイードスーツを買ってあげたことは後悔していない。
だが、そう度々馬券が取れる訳ではないので、当たった度に散財していては収支はプラスにならないのだ。

ちなみにボクがママの店で働いて貰うひと月の給与は手取りで185,000円だ。
きっと時給換算にすれば800から900円程度だろう。
(第3章へつづく)

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